它盉(它氏の酒器)
西周(紀元前1046~771年)

香草の煮汁と酒を混ぜるための器。
この酒には霊力があるとされ、手にかけて清めに使われたとされる。蓋は鳥の形をしているが、秦人の鳥類崇拝信仰の影響を受けているのかもしれない。注ぎ口と持ち手の竜、更には側面の繊細な線刻といった過剰なまでの装飾は、本器が礼器として用いられた可能性を示すと思われる。

Photo & Text by 吉村 信(福井市)